世界の終わりと夜明け前
この日を待ちわびた。
会社帰りのコンビニで、スピリッツに掲載されていた「浅野いにお短編集発売」の文字を読んで以来、この日がほんとに待ち遠しかった。
ついに出ました。
浅野いにお短編集『世界の終わりと夜明け前』。
タイトルとは逆で、『夜明け前』に始まり『世界の終わり』で終わる、読み切り10作+αの1冊。
個人的にはおなかいっぱい、大満足でした。
絶望感と期待感。
その2つが入り混じった1つ1つの作品が、キャラクターへの感情移入と一緒に胸に染みる。
キャラクターに愛着がわくもんだから、別の作品にそのキャラが登場したりすると「あ、あいつだ」てな感じで妙に嬉しい。
盛りだくさんの内容の中で、おれは『東京』が一番好き。
可愛らしい登場キャラもいいけど、おれが浅野いにおの描く漫画を好きな一番の理由は、自分の切なさや絶望感を表現してくれるとこ。
『東京』はそういう部分が多くて一番ぐっとくる。
ミスチルじゃないけど、人は悲しいくらい忘れてゆく生き物だ。
友達にひどいことをした事実も、大好きだった女の子のことも、そのときはずっと忘れないと思ってたことも嘘みたいに忘れてしまう。
ふとした拍子に思い出すこともあるけど、未だに忘れたままのこともきっとあるんだろうな。
浅野いにおの漫画を読むと、忘れてた思い出がよみがえってくる。
そんな漫画は誰にでも描けるわけじゃない。
やっぱりすごい。
この短編集の中には漫画だけじゃなく浅野いにお本人の文章も掲載。
小説みたいな漫画描くなって思うことがあるけど、この人やっぱり文才もある。
1つ1つの作品を振り返るあとがきが笑える。
今後もこの人の作品に期待。大いに。
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リアル 8巻
リアル8巻が出た!
毎週連載ってわけじゃないから、リアルの最新巻はいつも待ち遠しい。
出た時は嬉しさと一緒に、また1年待つのかっていう寂しさが…
大きな大会を終え、何かをつかんだタイガース。
その一方で、やっと見つけた自分の居場所をなくし、途方に暮れる野宮。
この8巻では、戸川、野宮、高橋の3人がそれぞれ変化していく様子が描かれてます。
特に、自分の置かれた現状から目をそらし、なかなか前に進まなかった高橋の変化に安心。
バガボンドとはまったく違い、細い線主体で描かれてるのは相変わらずだけど、この8巻の中では井上さんの新しい表現がいくつも見られる。
ギャグっぽいシーンなんかによく見られるところからして、井上さんが遊び心をもっていろいろ試してるのかもしれないな。
現状で満足せずに、まだまだ新しいものを探そうとしてるのがわかります。
次巻はまた1年後かもしれないけど、3人と井上さんのさらなる成長を楽しみに首を長くして待ちましょう。
あ、そうそう。
バガボンドの最新巻29巻は来月発売です!
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GIANT KILLING 7巻
出ました!ETUの大物食いサッカー伝、第7巻!
この漫画は、あいかわらずテンション上げてくれる。
特に笑いのセンスがどんどん磨かれてる気がする。
7巻の中でも、声をあげて笑ったポイントが数知れず。
散りばめられたギャグの部分が面白ければ面白いほど、真面目で引き締まるシーンのゾクゾク感がたまらなくなる。
メリハリがすばらしい漫画だなぁ、としみじみ。
加えて再確認したのが、登場するキャラクターが個性豊かなこと。
キャラクター一人ひとりの設定がしっかりしてるから、「この場面ならこいつはこういうこと言いそう」って時にしっかりキャラが動いてる。
「キャラが独り歩きして、勝手に動き始める」っていう話を漫画家や小説家が言ってるのを聞くけど、この漫画はまさにそういう感じ。
書いてるツジトモさんも描きながら楽しんでるに違いない。
ストーリーは、首位独走中の大阪ガンナーズとの目の離せない一戦に突入。
超攻撃的布陣を敷く大阪に、ETUはどんな作戦で挑むのか。
次巻がもうすでに待ち遠しい!
最新8巻は11月21日(金)発売です!!
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ヒストリエ
ヒストリエ/岩明均 1〜4巻(連載中) 月刊アフタヌーン(講談社)
この人の漫画は深い。
『寄生獣』と『七夕の国』を読んだけど、どっちもストーリーやドキドキ感がたまらなかった。
現在連載中の『ヒストリエ』も、また深い。
歴史上の人物エウメネスの活躍を世界史のエピソードを交えて描いている。
エウメネスの頭のキレっぷりには、脱帽。すごいです。
ただ1つ残念なのは、絵。
個人的な好き嫌いだけど、おれはちょっと苦手。
狙って描いているのかもしれないけど、読んでいると人の表情のぎこちなさみたいなものを感じて、なんかスッキリしない。
この人のほかの作品を読んでもそう感じたから、もう完成型の絵なのかもしれないけど、そこが予備軍止まりな理由…。
でもストーリーはものすごくいい!
今後、絵の苦手さを忘れるくらい飲めり込ませてくれる話になることを祈ります。
早く5巻出ないかなぁ。
3月のライオン
3月のライオン/羽海野チカ 1巻(連載中) ヤングアニマル(白泉社)
『ハチミツとクローバー』の羽海野チカが描く、将棋マンガ。
読んで率直に感じるのは、将棋よりも人の心がメインの漫画だということ。
『ハチミツとクローバー』はみんながなかなか幸せになれなかったりっていう寂しい部分があったけど、この作品も結構ヘビー。
まだ1巻だけしか出てないから判断するのは早いけど、これからも暗めで行くのかなぁ。
けど、この人の描く漫画は暗いだけじゃない!
ギャグというか笑いのセンスが随所にあふれてます。
おちゃらけたキャラクターの表情の脱力感とかたまりません。
シリアスな暗さとゆるゆるの笑い。
このバランスがいいんだよなぁ。
管理人は基本的に少女マンガ系の絵が苦手。
けどこの人のは余裕でいける。
まだ殿堂入りとまではいきませんが、今後その可能性を秘めた漫画です。
最新刊の2巻は11月28日(金)発売!
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イムリ
イムリ/三宅乱丈 1〜4巻(連載中) 月刊コミックビーム(エンターブレイン)
人や物から力を引き出す不思議な能力を操る3つの民族、カーマ、イムリ、イコル。
完全な階級社会の中で、裕福なカーマとして育った主人公デュルクは、呪師と呼ばれる術を使うものを養成する学校へと入学する。
入学をきっかけに、これまで当たり前だと思っていた世界の裏側を知り、ゆがんだ現実に気づいていくことになる。
そして物語の行方は…?
現在4巻まで発売中。
ジャケ買いしてみたところ、その絵の少女マンガっぽさに若干たじろぐ…。
物語の設定も聞きなれないカタカナ言葉が多く、世界観がなかなかつかめない。
もう集めるのやめようかと思いながら、ギリギリ手に取った4巻の終わり際で、殿堂入り予備軍入りを決めました。
非凡な力をもつデュルクの秘密。
その展開次第で、これからどんどんおもしろくなっていく漫画だと思う。
もちろん、その逆も考えられるけど…。
期待をこめて次巻を待ちます。
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金春屋ゴメス
金春屋ゴメス/西條奈加 2005年 新潮社(2008年文庫化)
「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作。
月への居住が可能になった近未来の日本。
科学技術の進んだこの国に、なぜか属領として、ほぼ独立国家“江戸”が存在する。
そんな鎖国を敷く専制君主国家“江戸”に入国することになった、ある青年の物語。
設定がとにかくおもしろい。
近未来なのに、江戸時代。
べらんめぇ調なのに、ゴメス。
文庫本巻末の解説いわく、この設定がいろんな表現世界を可能にしてるし、この設定を思いついた時点で日本ファンタジーノベル大賞は作者のものだった、とのこと。
まったくその通りだと思う。
物語は一応(?)近未来だし、SF冒険ものに入るのかな?
個人的に、主人公のセリフが不自然に感じるとこがあって感情移入しにくかったこと、登場人物の名前が昔風で憶えにくかったことから、今回は予備軍止まり。
でもあくまで管理人個人の感想なので、読む人によって満足度は違うはずです。
近未来の江戸が作り出す楽しい違和感を味わいたい方。
奉行ゴメスの恐ろしさを体験したい方。
お試しあれ。
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